

Adolphe Mouron Cassandre
アドルフ・ムーロン・カッサンドル
1901年にロシア帝国(現ウクライナ)に生まれ、フランスで活躍したアドルフ・ムーロン・カッサンドルは、特にグラフィックデザイナーとして世界に名を馳せた人物。その名を世界に知らしめたのが、ポスターデザインである。1910~30年代、欧米ではアール・デコが大流行。このアール・デコとは、過度な装飾を廃して機能的・実用的なフォルムやデザインを基調としながら、直線と立体感を組み合わせた幾何学的構成、エアブラシなどを使った点描的画法によって構成されたデザイン様式。カッサンドルは、そのアール・デコを代表する存在だ。30年代には一時期アメリカに渡り、世界最古の女性誌『Harper's BAZARR(ハーパーズ・バザー)』やアメリカ最大の経済紙『FORTUNE(フォーチュン)』などの表紙デザインも手掛けた。
また、舞台芸術家、タイポグラファー、書体デザイナーとしても活躍し、現在でも広く使われている『Peignot(ペイニョ)』という書体は、1937年に彼がデザインしたもの。さらに、エルメスのトランプやスカーフだけでなく、イブ・サン・ローラン(YSL)のロゴも彼のデザインだ。